スペシャルインタビュー
BUNKYO SIENA POPS 2025 わが青春のポピュラーミュージック!<Part.7>
~想い出のアメリカン・サウンズ~

~ 2025年8月23日(土) 「BUNKYO SIENA POPS 2025 わが青春のポピュラーミュージック!<Part.7> ~想い出のアメリカン・サウンズ~」 

本田雅人(T-SQUARE 2代目フロントマン)
榮村正吾(シエナ・ウインド・オーケストラ サクソフォン奏者)
東 佳樹(シエナ・ウインド・オーケストラ 打楽器奏者)
スペシャルインタビュー

文京シビックホールとシエナ・ウインド・オーケストラのオリジナルシリーズ『わが青春のポピュラー・ミュージック!』。
第7弾は、シリーズ初となる「アメリカン・ポップス」を特集します。
今回シリーズ初出演である、T-SQUARE 2代目フロントマン・本田雅人さん、
シエナ・ウインド・オーケストラ サクソフォン奏者の榮村正吾さん、打楽器奏者の東 佳樹さん、
そして文京シビックホール音楽プロデューサーで、本シリーズの構成も手がける岩下恵一の4名に、
公演への意気込みやプログラムの聴きどころなどについてお話を伺いました。

本田.png

サクソフォン

本田雅人

Masato Honda

音楽教員の両親の影響で、幼少から音楽に興味を持ち、小学3年生でサックスを始める。国立音大在学中から「原信夫とシャープス&フラッツ」のリードアルト奏者を務める。1991年「T-SQUARE」加入。フロントを飾ると共に、作曲、アレンジの面でも新風を巻き起こす。退団後、ソロアーティストとして活動開始。「Witness」「B.B.Station」「Four of a Kind」「Voice Of Elements」等のプロジェクトを展開。8枚目のオリジナルアルバムをソロ作品としては初となるロサンゼルスでのレコーディングをBob Jamesらと共に行う。アーティスト活動を中心に、レコーディング、アレンジャー、プロデュースなど、多方面に渡って精力的に活動している。

榮村.jpg

Photo:K.Miura

サクソフォン

榮村正吾

Shogo Sakaemura

東京芸術大学音楽学部器楽科を安宅賞を得て卒業。アサヒビール芸術文化財団の助成金を受け渡仏。フランス国立セルジー・ポントワース音楽院高等科を首席で卒業。同音楽院演奏科を修了。フランスをはじめ、ベルギー、イタリア、デンマーク等ヨーロッパ各国において演奏会、音楽祭に出演、好評を博す。帰国後のリサイタルでクリスチャン・ローバの「ハード」を日本初演。NHK―FM土曜リサイタルに出演。第10回サクソフォーンコングレス(イタリア)、同第11回(スペイン)にそれぞれ参加。サクソフォンを佐藤典夫、故大室勇一、冨岡和男、須川展也、ジャン=イブ・フルモーの各氏に師事。

東佳樹_Photo:K.Miura.jpg

Photo:K.Miura

打楽器

東 佳樹

Yoshiki Higashi

1975年、大阪府出身。東京藝術大学卒業。
コンサートパーカッションを中心に、ドラム、ラテンパーカッション、ジャズヴァイブなど、多様な打楽器を演奏するマルチプレイヤー。オーケストラ、吹奏楽、室内楽、アーティストサポートなどの様々なコンサート、ミュージカルや舞台作品、スタジオワークなど、様々なシーンで音楽活動を展開している。蜷川幸雄演出「マクベス」でNY NEXT WAVE FESTIVAL 2002に参加。上野耕路&HIS ORCHESTRAのマリンバ奏者としてASIEN-PAZIFIK-WOCHEN BERLIN 2007に出演。MUSIC PLAYERS おかわり団メンバー。東 佳樹Quartet主宰。Innovative Percussionエンドーサー。

取材・文:高坂はる香 インタビュー写真:三浦興一

シエナ・ウィンド・オーケストラと演奏できることはとても光栄です。

全体写真.jpg

―「アメリカン・ポップス」がテーマとなるのは今回が初めてですが、これまでにもプログラムに入ることは多かったそうですね。

岩下(文京シビックホール音楽プロデューサー):時代が変わるにつれて新しいトレンドも次々に生まれていますが、アメリカのポップカルチャーはいつの時代も憧れの中心的存在で、とりわけ音楽文化はその時代ごとの若者に大きな影響を与え、一生をかけて楽しむライフワークの一つになっています。そんなアメリカン・ポップスに特化したコンサートはいつか企画したいと思っていました。
 ということで7回目となる今回は、ハリウッド映画の傑作にはじまり、探偵・刑事・スパイ作品のテーマ曲、そして夏らしくベンチャーズや心に染みるオールディーズの名曲などアメリカン・ポップスの醍醐味を一気にお楽しみいただける内容にしてみました。

―盛りだくさんなプログラムになりますね!

岩下:はい。そしてサクソフォン奏者の本田雅人さんをお迎えすることができたので、オールディーズナンバーに加えスペシャルコーナーでは、本田さんがフロントマンを務めていたT-SQUAREの名曲「TAKARAJIMA」と、198090年代のF1グランプリテーマ曲でもお馴染みの「TRUTH」を、この日のための特別なアレンジでお届けできることになりました。特に「TAKARAJIMA」は吹奏楽用のアレンジも人気で、多くのアマチュア演奏家に親しまれています。本家本元の本田さんによるソロとシエナの熱いセッションをそういった方々にもお聴きいただける貴重な機会になるかと思います。

本田.png

ーこの企画の提案を聞いて、どう感じましたか? 

本田:今や「TAKARAJIMA」は吹奏楽のレパートリーとしてのほうがよく知られていて、オリジナルのT-SQUARE版が"ニセモノ"だと思われるくらいですが(笑)、おかげで吹奏楽の団体から呼ばれて演奏する機会が増えました。その中でも、日本で数少ないプロフェッショナルの吹奏楽団であるシエナ・ウィンド・オーケストラと演奏できることはとても光栄です。

榮村:サクソフォン奏者からすると本田さんは憧れの存在なので、まずご一緒できることがとにかく嬉しいです。どんなプレイが飛び出すのか、どんな化学反応が生まれて、それがどうお客様に伝わるのかも楽しみにしています。

東:TAKARAJIMA」はシエナでも何度演奏したかわからないほどですが、本田さんとご一緒できると聞いて特別な喜びがありました。私は高校生の頃、本田さんがT-SQUAREに加入されたときのアルバムを聴いて育っていますから!またベンチャーズについては、譜面がまだ届いていないので、吹奏楽でどのように演奏することになるのかわからないドキドキとワクワクがあります。

榮村:三浦秀秋くんのアレンジはいつも素晴らしいので、新バージョンの「TAKARAJIMA」には期待してしまいますね。

<よくぞここまで表現してくれた...>と言っていただけるのが目標ですし、夢ですね。

榮村.png

 

―アメリカン・ポップスはお好きですか? 今回演奏される楽曲は、皆さんからすると世代的に上の方達が青春時代に聴いていたものになるかと思います。

榮村 :私の場合、父がこういう音楽が好きでいつも流していたので、子どもの頃耳にしていたその音の記憶を頼りに、頭の中で響かせながら吹いてるところがありますね。

東:シエナはこれまでにも映画音楽をよく取り上げていて、こうした作品のサウンドを吹奏楽で表現することが得意です。メンバーは原曲の音のイメージを思い浮かべながら、その音色を出す技を持ち合わせていますから、変に今っぽくならず、オリジナルを聴いていらした方々が懐かしく感じられるサウンドをお届けできると思います。

岩下:この「わが青春のポピュラー・ミュージック!」で取り上げる音楽の多くは1950年代から60年代前半の曲が中心です。残念ながら私も含め、公演に携わる者の多くがリアルタイムに接してきたわけではありません。ですが、ヒットしていた当時の様々な背景を紐解いていくと、構成の仕方がぼんやりと見えてきます。そして、フレーズやテンポなど欠かすことのできない"曲の色"もわかってきます。それをアレンジャー、演奏者、音響や照明スタッフの皆さんと共有しながら挑戦者のような気持ちで公演を続けています。ど真ん中の世代のお客様に<よくぞここまで表現してくれた...>と言っていただけるのが目標ですし、夢ですね。

―本田さんは今回、オールディーズのボーカルをサクソフォンで表現することになりますね。

本田:実は歌のパートって楽器で演奏するのは難しいんです。というのも、同じ音ばかりが並んでいることが多くて、歌なら言葉があるからいいですけれど、楽器だとただ"ド"が並んでいるだけ、みたいになりかねませんから(笑)。そこをしっかり表現する必要があります。

逆に違和感も楽しんでほしいと思います。

東.png

―最後に、コンサートを通じて感じてほしいことなどがあればお聞かせください。

本田:サクソフォンは、いわゆるクラシックや吹奏楽と私が普段やっているジャズやフュージョンでは、吹き方や存在のあり方が大きく違います。極端な言い方をすると、"汚い音"に聞こえることもあるかもしれません。ただそれが本当に"汚く"ならないよう、華やかさ、派手さを求めていきます。 私はもともとそちら側の演奏をしていましたが、当時は音楽大学でサクソフォンを学ぶとなるとクラシックしかなかったことから急遽クラシックを勉強しはじめたので、最初は「なんだこれ!」というくらい本当に驚きました。サクソフォンなのにチェロみたいな音がするんだなと。
 その意味で、吹奏楽の「TAKARAJIMA」で入ってくるサックス・ソロのイメージに馴染んでいる方からすると、私の演奏には違和感があるかもしれません。でもそれもそのままに受け入れ、逆に違和感も楽しんでほしいと思います。

榮村:「わが青春のポピュラー・ミュージック!」シリーズでは、毎年、私たちがやっていることとは少し違うチャレンジがあるので、その中で少しずつ改良を加え、新しいサウンドを生み出しています。今年も聴いてくださった皆さんが、普段耳馴染みのあるものとはまた一味違った新しいものを耳にしたと感じて帰ってくださったらすごく嬉しいですね。

2025.02.25-058.jpg

東:私はこのシリーズではいつもドラムセットを担当することが多くて、その場合、最上段で演奏するので、客席で皆さんが楽しんでいらっしゃる表情がよく見えるんです。今回も楽しんでいただけるかドキドキしつつ、皆さんに笑顔になってもらえるコンサートにしたいと思っています。
 あと、普段シエナのコンサートは、前半と後半でクラシックとポップスの両方を取り上げることが多いですが、このシリーズでは最近、ステージのセッティングをポップスに特化したものに変えています。すると我々もステージ上で聴こえる音が違うので、当然演奏も変わります。いつものシエナの音とは一味違ったものを感じていただけるのではないでしょうか。

岩下:今回は良き時代のアメリカン・ポップスを生のオーケストラ・サウンドでお楽しみいただくわけですが、本田さんやT-SQUAREのファンの皆さまもご来場されると思います。お目当ては様々だと思いますが、それぞれに新しい発見の機会になることを願いつつ、皆さまのご来場を心よりお待ちしております。

取材・文:高坂はる香(こうさかはるか)

音楽ライター、編集者。大学院でインドのスラム支援プロジェクトを研究。その後2005年よりピアノ専門誌の編集者として、ピアニストや世界の国際ピアノコンクール等の取材を行う。2011年よりフリーランスとして活動。雑誌やCDブックレット、コンクール公式サイトやWeb媒体への寄稿のほか、「クラシックソムリエ検定公式テキスト」の編集などを手掛ける。
HP「ピアノの惑星ジャーナル

BUNKYO SIENA POPS 2025 わが青春のポピュラーミュージック!<Part.7>~想い出のアメリカン・サウンズ~

2025年8月23日(土)15:00開演

文京シビックホール 大ホール

出演

指揮/栗田博文
サクソフォン/本田雅人
吹奏楽/シエナ・ウインド・オーケストラ
ナビゲーター/朝岡 聡

編曲

三浦秀秋

曲目

ロードショー・メドレー
ベン・ハー
慕情
風と共に去りぬ
ピーター・ガン
刑事コロンボ
スパイ大作戦
組曲「楽園」
(魅惑の宵~大洋のかなたに~真珠貝の歌~ブルー・ハワイ~「南太平洋」序曲)
アドベンチャー・ザ・ベンチャーズ
(ウォーク・ドント・ラン~10番街の殺人~ダイアモンド・ヘッド~パイプライン~ハワイ・ファイブ・オー)
オールディーズ・セレクション/女性ボーカル編
(ヴァケイション~ワン・ボーイ~ロコモーション~Be My Baby~ボーイ・ハント)
オールディーズ・セレクション/男性ボーカル編 演奏:本田雅人
(ダイアナ~砂に書いたラブレター~悲しき街角~おお!キャロル~君の瞳に恋してる)


<スペシャル・コーナー>

~サクソフォン奏者 本田雅人を迎えて~
TAKARAJIMA
TRUTH
(BUNKYO SIENA POPSスペシャル)

料金

全席指定
S席:5,500円 
A席:4,500円 :B席 3,500円

【グループ割引】
同席種2枚以上同時購入でS・A席各500円引き。 

※学生割引あり。詳細は公演ページをご覧ください。

お問い合わせ

シビックチケット 03-5803-1111(10時~19時/土・日・祝休日も受付。)

2025_bunkyo+siena+pops_part+7_360_511.jpg

聴く機会の少ない、おもしろい響きが生まれるはず