響きの森クラシック・シリーズ2020-2021シーズン

選りすぐりの名曲を、四季を通じて堪能できる人気のサタデー・アフタヌーン・コンサート!

響きの森クラシック・シリーズ2020-2021シーズン
全4回ラインアップ紹介

2020年ベートーヴェン生誕250年を記念したプレミアム・シーズンが開幕!
この記念すべき年を祝うスペシャル・プログラムとして、全4公演《オール・ベートーヴェン・プログラム》をおおくりします。

文:柴田 克彦

 "響きの森クラシック・シリーズ"は、文京シビックホールと日本最古の歴史を誇る東京フィルハーモニー交響楽団が、一流指揮者やソリストと共におくる名曲を、年4回・土曜の午後に味わえる大人気公演。2002年から続くこのロングセラー・シリーズの中でも、2020-2021シーズンはとびきりスペシャルな1年となる。それは2020年のベートーヴェン生誕250年を記念した、小林研一郎指揮による《オール・ベートーヴェン・プログラム》が開催されるからだ。当シリーズの"顔"でもある"炎のマエストロ"コバケンが、全4公演を指揮するこの企画。ベートーヴェンの中期"傑作の森"を代表する「運命」「田園」「7番」、そして当シリーズでは7年ぶりとなる「第九」の各交響曲に、「皇帝」等の協奏曲等を組み合わせた究極のプログラムを、持ち前の迫真的・情熱的な表現に円熟の味わいを加えたコバケンと、注目の俊才から日本を代表する名手まで多彩なソリストたちが奏でる、極め付けの名曲集である。

コバケン小林研一郎

 そしてまた2020年は、小林研一郎の80歳の記念イヤーでもある。
 小林は、1974年第1回ブダペスト国際指揮者コンクールで第1位を受賞して以来、 多くのヨーロッパの一流オーケストラを指揮し、国内外の数々のポストを歴任してきた、日本を代表するマエストロ。《ベートーヴェン・プログラム》は、2012-2013シーズンにも当シリーズで行った十八番演目であり、毎年大晦日には東京文化会館にてベートーヴェンの全交響曲を1日で演奏し、その解釈を深めてもいる。それゆえ、前シリーズから8年を経て円熟の極みに達した巨匠のパフォーマンスに絶大な期待が集まる。

Vol.72

2020年6月6日(土)15時開演


 戸澤
 戸澤采紀

出演:指揮=小林研一郎 ヴァイオリン=戸澤采紀

曲目:ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン/交響曲第7番

 幕開けにふさわしく、「ヴァイオリン協奏曲」と「交響曲第7番」という、ベートーヴェンの作品の中でも明朗な2曲が披露される。

 「ヴァイオリン協奏曲」は、同ジャンルを代表する名作の1つ。晴れやかさと気品に充ちた曲調をもち、"歌う楽器"としてのヴァイオリンの特性が、シンフォニックなオーケストラと一体になりながら、壮大な規模で追求されている。

 ここでは戸澤采紀のソロが要注目だ。プロのヴァイオリニストの両親のもとに生まれた彼女は、2015年に中学3年で学生音楽コンクールを制した翌年、なんと我が国最高峰の日本音楽コンクールでも史上最年少の15歳で優勝して話題を呼んだ超逸材。すでに東京フィルのほか、ローザンヌ室内管、都響、東京シティ・フィル、日本フィル等と共演している。彼女が、高度な技巧と同時に伸びやかさや優美な歌い回しが求められるベートーヴェンの協奏曲を、いかに聴かせるか? 心強きコバケンのサポートを含めて耳目を離せない1曲となる。

 「交響曲第7番」は、今やベートーヴェンの交響曲の中でも人気最上位。各楽章ごとに設けられたリズム・パターンが無類の推進力や律動感を生み出すエキサイティングな音楽で、特に第4楽章の畳み込みは毎回興奮の坩堝と化す。それゆえ"炎のマエストロ"による燃えながら躍動する音楽に陶酔させられること必至だ。

Vol.73

2020年9月5日(土)15時開演


 小林あやな
 小林亜矢乃

出演:指揮=小林研一郎 ピアノ=小林亜矢乃

曲目:ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」

 「ピアノ協奏曲第5番『皇帝』」と「交響曲第6番『田園』」。タイトル(「皇帝」は愛称)付きの人気作が並ぶ豪華なコンサートだ。

 ベートーヴェン最後のピアノ協奏曲「皇帝」は、「田園」交響曲初演の翌年に作曲された充実期の名作。華麗なピアノと勇壮な管弦楽が交響曲的な融合と絶妙な対話を成していく音楽は、「皇帝」の呼び名にまさしくふさわしい。

 独奏の小林亜矢乃は小林研一郎の長女。ここはまず親子共演に熱視線が注がれる。国内で学んだ後、ケルン音楽院で研鑚を積んだ彼女は、多数の国際コンクールで上位に入賞し、ネザーランドフィル、ハンガリー国立フィル、チェコ・フィルと現地の著名ホールで共演したほか、東京フィル、大阪フィル、東響、読響、日本フィル等、国内の多数のオーケストラと共演している。また、スペインやドイツでもリサイタルを開催。類稀な深みのある音楽で聴衆を魅了している。彼女が父のタクトにどう応えるか? 大いに注目したい。

 「田園」交響曲は、具体的な言葉に即した音楽が展開される「標題交響曲」の元祖として、ロマン派の音楽に多大な影響を与えた重要作。ここはコバケンのアプローチがポイントだが、これまでの演奏からみて、各場面の描出が明快で強弱のレンジが広い、スケールの大きな「田園」が期待できそうだ。

Vol.74

2020年11月28日(土)15時開演


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 小山実稚恵

出演:指揮=小林研一郎 ピアノ=小山実稚恵

曲目:ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番

ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」

 「ピアノ協奏曲第3番」と「交響曲第5番『運命』」という"ハ短調"作品のカップリング。ベートーヴェンの"宿命の調"の凄みを存分に堪能できる。

 「ピアノ協奏曲第3番」は、シンフォニックな造作で協奏曲の分野に新境地を開いた作品。ハ短調が生み出す劇的な曲想や、ダイナミックなピアニズムも当時としては破格だ。

 ソロを弾くのは、人気・実力共に日本を代表するピアニスト・小山実稚恵。彼女は、チャイコフスキー、ショパンの二大国際コンクールに入賞以来、長く第一線で活躍を続けており、海外の著名オーケストラやフェドセーエフ、テミルカーノフ、マリナーといった国際的指揮者との共演も数多い。現在は、2019年から3年間に6回行う新シリーズ『ベートーヴェン、そして・・・』を全国6都市で開催するなど、同作曲家の深淵の追求にとりわけ力を注いでいる。それだけに今回は、日本トップの名技と奥深いアプローチに興味が集まる。

 「運命」は、おなじみの出だしと相まって、クラシック音楽の象徴ともなった劇的な交響曲。4音の動機を軸に据えた発想をはじめ独創的な要素が満載されている。何より"闘争から勝利へ""暗から明へ"の明確な構図をもつ高揚感とカタルシスにあふれた作品だけに、ここはエネルギーと力感に充ちたコバケンならではの熱演が待っている。

Vol.75

2021年3月27日(土)15時開演

小林沙羅小林沙羅

清水清水華澄

西村西村 悟

大西大西宇宙

出演:指揮=小林研一郎 
ソプラノ=小林沙羅 メゾソプラノ=清水華澄
テノール=西村 悟  バリトン=大西宇宙
合唱=東京藝術大学音楽学部声楽科学生

曲目:ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲

ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付」

 シーズンの最後は、「劇音楽『エグモント』序曲」に続いて「交響曲第9番『合唱付』」が演奏され、大きな感動と共にベートーヴェン・プログラムが大団円を迎える。

 「第九」は、交響曲に声楽を合体させた点において破格であるだけでなく、宇宙的な広がりに充ちた第1楽章、これまでになく大規模なスケルツォの第2楽章、天国的な美しさを湛えた第3楽章、そしてシラーの頌歌「歓喜に寄す」が高らかに歌われる第4楽章と続く壮大さにおいて、交響曲史に新たな足跡を記した記念碑的作品。また、"人類はみな兄弟""人類愛と協調による平和"をうたった第4楽章の「喜びの歌」と、"苦悩を経て歓喜へ"のモットーが示された曲全体の内容が相まって、歴史上重要な機会に演奏される特別な1曲ともなっている。

 これまた情熱的でパワフルなコバケンの持ち味が発揮される作品であるのは言わずもがな。しかも今回は、ソプラノの小林沙羅、メゾソプラノの清水華澄、テノールの西村悟、バリトンの大西宇宙が並ぶソリスト陣が素晴らしい。いずれも現在の日本を代表する人気歌手にして世界レベルの実力者であり、今が旬の歌い手でもある。これだけのメンバーが揃えば、声楽部分だけでも公演を聴く価値があるし、東京フィル、東京藝大の合唱ともどもコバケンのもとで一体となった演奏を耳にする喜びも大きい。

 当シリーズにおける「第九」の演奏は2013年11月以来のこと。その意味でも貴重な機会だし、年末ではなく年度末を「第九」で締めくくるのも特別な体験となるであろう。

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柴田克彦(しばた かつひこ)

音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。
「ぶらあぼ」「ぴあクラシック」「CDジャーナル」「バンド・ジャーナル」等の雑誌、公演プログラム、宣伝媒体、CDブックレットへの取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や一般の講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)。文京シビックホールにおける「響きの森クラシック・シリーズ」の曲目解説も長年担当している。

響きの森クラシック・シリーズ2020-2021シーズン セット券

シビックチケットのみの取り扱い

シビックチケット03-5803-1111

(10時〜19時/土曜日・日曜日・祝日も受け付け。ただし、12月28日から1月4日は休業。)

【チケットまもなく発売】

2019年12月15日(日)10:00~2020年3月15日(日)19:00までの期間限定販売

S席 18,000円
1回券 Vol.72:4,000円、Vol.73:5,000円、Vol.74:5,000円、Vol.75:7,500円
4公演21,500円のところ3,500円 OFF

A席 15,000円
1回券 Vol.72:3,000円、Vol.73:4,000円、Vol.74:4,000円、Vol.75:6,500円
4公演17,500円のところ2,500円 OFF

S席 13,000円
1回券 Vol.72:2,500円、Vol.73:3,000円、Vol.74:3,000円、Vol.75:5,500円
4公演14,000円のところ1,000円 OFF

【1回券の発売日は後日ホームページ・チラシ・広報紙等で発表いたします】

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