~2026年3月26日(木) 「中野翔太・金子三勇士・阪田知樹 トリプルピアノ2026」~
中野翔太(ピアノ)/金子三勇士(ピアノ)/阪田知樹(ピアノ)
スペシャルインタビュー
クラシックのみならず、ジャズ演奏や作曲も行い、活動の幅を広げ続ける中野翔太。
日本とハンガリーの文化交流に取り組み、大胆かつ繊細な演奏で聴衆を魅了する金子三勇士。
国内外のオーケストラと共演を重ねるとともに、室内楽奏者としても注目を集める阪田知樹。
本公演で共演するピアニスト3名に、曲目への想いやお互いの印象などをメールインタビューでうかがいました。
ⓒTaira Tairadate
ピアノ
中野翔太
Shota Nakano
1999年よりジュリアード音楽院プレ・カレッジに留学し、同音楽院を経て2009年に大学院を卒業。第15回出光音楽賞を受賞。デュトワ指揮/NHK交響楽団、小林研一郎指揮/読売日本交響楽団、小澤征爾指揮/ウィーン・フィルなど、国内外の著名な指揮者・オーケストラと共演。近年はカーチュン・ウォン指揮/日本フィルと坂本龍一『地中海のテーマ』を共演し絶賛され、その一方でリサイタルや室内楽にも積極的に取り組んでいる。圧倒的な技術に裏打ちされた豊かな表現力と透明な音色が高く評価され、クラシックを基盤に作曲・編曲・ジャズ演奏など多彩な活動を展開。2021年・2023年には浜松国際ピアノアカデミー講師を務め、後進の指導にも力を注いでいる。東京音楽大学非常勤講師。
ⓒSeiichi Saito
ピアノ
金子三勇士
Miyuji Kaneko
2008年バルトーク国際ピアノコンクール優勝。6歳より単身ハンガリーに留学。11歳よりハンガリー国立リスト音楽院大学に入学、16歳で帰国した後、東京音楽大学付属高等学校に編入、清水和音、迫昭嘉、三浦捷子の各氏に師事。これまでにゾルタン・コチシュ、シルヴァン・カンブルラン、ジョナサン・ノット、小林研一郎、広上淳一、山田和樹、鈴木優人など、国内外の名だたる指揮者と共演。オーケストラではハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団、NHK交響楽団等と共演。これまで20ヵ国近く世界各地で演奏活動を行う。キシュマロシュ名誉市民。スタインウェイ・アーティスト。
ⓒAyustet
ピアノ
阪田知樹
Tomoki Sakata
2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、6つの特別賞。 2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール第4位入賞。第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて弱冠19歳で最年少入賞。国内はもとより、世界各地20ヵ国以上で演奏を重ね、国際音楽祭への出演多数。2015年CDデビュー、2020年3月に世界初録音を含む意欲的な編曲作品アルバムをリリース。また、ピアノ編曲集「ヴォカリーズ」、「夢のあとに」、阪田の作曲した「アルト・サクソフォーンとピアノのためのソナチネ」を音楽之友社より出版。2017年横浜文化賞文化・芸術奨励賞、2023年第32回出光音楽賞、第72回神奈川文化賞未来賞を受賞。
取材・文:高坂はる香
一緒に音楽を奏でられることが喜びです

ー文京シビックホール主催の「トリプルピアノ公演」では中野さんと金子さんは3回目、阪田さんは2回目の出演になります。ピアノ3台で演奏する魅力やおもしろさ、難しさは、どんなところにありますか?
中野:ピアノデュオは時折ありますが、3人以上のピアニストが集まる機会はなかなかないので、まずは一緒に音楽を奏でられることが喜びです。
ピアノ3台が同時に鳴ると、やはり迫力は段違い。リハーサルで狭い部屋だと少しうるさく感じることもあるくらいです(笑)。
難しいのは、お互いの音を聴いてバランスを取ること。また、フルコン(※1)3台だと物理的に距離が離れていて少しタイムラグがあるため、タイミングの取り方も難しさの一つです。
金子:ピアノは普段から「1人で演奏できるオーケストラ」などと言われることがあります。確かに1人で複数のパートを同時に弾き、低音から高音まで広く奏でることができる数少ない楽器の一つです。それが3台ピアノになると、団員の数がより多くなったオーケストラのイメージで、当然、迫力は何倍もあります。
また、僕たちピアニストは普段1人で行動することが多いため、3人で集まり、練習をし、本番を迎える事も楽しみの一つですね。
難しさがあるとしたら、ピアノの配置でしょうか。ピアノは1台1台特徴が違うため、どのピアノを誰が弾き、お互いの距離感や角度をどうセッティングするか。少し動かしただけでも響きが大きく変わることもあります。その辺りは当日のリハーサルで、3人で相談しながら、仲良く決めていきたいですね...(笑)。
ピアノの無限の可能性を体感していただけるはずなので、ピアノ好きの方にこそ、ぜひお聴きいただきたいです!
初めて取り上げる作品は、いつもワクワクします。

ーソロで演奏する作品も含まれますが、その魅力、聴きどころを教えてください。
中野:ライフワークとしている坂本龍一さんの作品から「Bolerish」を選曲しました。これは坂本さんがある映画のために「ボレロ」のような作品をと依頼されて書いた楽曲です。"ボレロっぽい"というタイトルですが、「ボレロ」との繋がりを感じさせつつも、独自の世界観の中、美しいメロディが揺蕩(ゆらゆらと揺れ動くこと)います。ガーシュウィンの「サマータイム」は数年前にピアノソロ用にアレンジをしました。
金子:今回お届けする「リゴレット・パラフレーズ」は、リストがヴェルディのオペラ「リゴレット」の魅力をより多くの人に伝えたい一心で編曲し、自らの演奏会のみならず、弟子たちのリサイタル・プログラムにもたびたび取り入れてきたキャラクターピース(※2)です。
リストは、こうした大編成のオペラや交響曲をピアノに編曲することで、原曲をより多くの人に紹介できると考えました。実際これらを彼の演奏で知った聴衆が、オペラや交響曲の公演に出かけるケースもあったといいます。
この公演を機にリストの編曲作品、そしてヴェルディのオペラをもっと聴いてみたい!と感じていただけると嬉しいです。
阪田:リストは超絶技巧のピアニストとして活躍していましたが、30代半ばでピアニストとしての演奏活動を引退します。その後、作曲活動に力を注ぎ、ピアノ曲はもとより、歌曲から管弦楽曲、オラトリオまでさまざまなジャンルの楽曲を生み出しました。
私が演奏する「伝説」は、キリスト教の聖人、パオラの聖フランシスコにまつわる伝説を音で描いた楽曲です。パオラの聖フランシスコがマントを使って海を渡る奇蹟があたかも目の前で繰り広げられているような荘厳な響きが魅力です。
ー中野さん編曲の「トリプルピアノ・ファンタジア」はどんな作品になりそうですか?
中野:今回は4曲をメドレーに編曲しています。作業は続いていますが、原曲の良さを活かしつつ、3台ピアノならではの響きを楽しんでいただけるよう試行錯誤しています。
J.S. バッハやドビュッシーなどのクラシック作品に、アンダーソンや坂本龍一さんの楽曲を組み合わせることで、音楽の枠を超えた世界をお届けできればと思っています。
ー金子さんと阪田さんは、この新作の初演でどんなことを楽しみにしていますか?
金子:初めて取り上げる作品は、いつもワクワクします。同時に、その演奏が歴史的に残る特別なものであるため、責任も重大!クラシックとジャズのスペシャリストで、長年アンサンブルでご一緒してきた中野翔太さんがどのような世界を描かれるのか、楽しみでなりません。
阪田:メドレー作品としては意外な組み合わせの楽曲が並んでいるので、楽曲選択の理由なども気になるところですね!中野さんが今回の演奏会のために新たに編曲してくださるとのことで、どのような作品になるのかがとても楽しみです。
それぞれ異なる個性だからこそ共演した時に新たな魅力が生まれるように思います
ーそれぞれ、共演するお2人についての印象をお聞かせください。

中野:金子さんは、物事の本質を見抜いているというか、普段接する中でいつも無駄なアクションがないのが本当にすごいなと思います。そして演奏はもちろんのこと、お話が上手い!
阪田さんはいつも飄々としていながら何でもこなしてしまうスーパーマンという印象ですね(笑)。きっと阪田さんには、1日72時間くらいあるのではないでしょうか。
金子:2020年に一度文京シビックホールでの「トリプルピアノ公演」でご一緒したメンバー。普段はそれぞれソリストとして活動しているため、久しぶりの再会です!
中野さんはいつも冷静。じっくり作品と向き合い、リハーサルでは共演者との会話や意見交換を大切にされている方です。
阪田さんはどんな作品でもすぐに弾けてしまうタイプ?(笑)リハーサルでもまずはみんなで弾いてみましょう!と明るくリードする方です。弾き終わった段階でアイディアを出し合うのですが、いつも一味違う解釈で周りを楽しませてくれます!
阪田:この3人での共演は6年ぶり。クールな中野さんと情熱的な金子さん、それぞれ異なる個性だからこそ共演した時に新たな魅力が生まれるように思います。ぜひ会場で体感していただけましたら嬉しいです。
※1 フルコン...「フルコンサートグランドピアノ」の略で、大きなコンサートホールでの演奏を目的とした音量の大きいグランドピアノ。
※2 キャラクターピース...主に19世紀のロマン派時代に作曲された、特定の気分や情景を想起させるような自由な形式のピアノ小曲の総称。
取材・文:高坂はる香(こうさかはるか)
大学院でインドのスラム支援プロジェクトを研究。その後ピアノ専門誌の編集者を経て、2011年よりフリーライターとして活動。演奏家へのインタビュー、曲目解説の執筆、インドの西洋クラシック音楽事情の取材を行う。ショパン国際ピアノコンクール、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール、エリザベート王妃国際コンクールなど世界のコンクールの長期取材に基づくウェブ上での情報配信、講座などを行う。著書に「キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶」(集英社刊)。
HP「ピアノの惑星ジャーナル」
「中野翔太・金子三勇士・阪田知樹 トリプルピアノ2026」
2026年3月26日(木)19:00開演
文京シビックホール 大ホール
出演
ピアノ/中野翔太
ピアノ/金子三勇士
ピアノ/阪田知樹
曲名([ ]内は演奏者)
◆ソロ
坂本龍一/Bolerish [中野]
ガーシュウィン(中野翔太編)/サマータイム[中野]
リスト/2つの伝説 第2曲「波の上を渡るパオラの聖フランシスコ」[阪田]
リスト/リゴレット・パラフレーズ[金子]
◆2台ピアノ
ラフマニノフ/2台ピアノのための組曲 第2番より第2曲[金子、阪田]
ドビュッシー(デュティユー編)/月の光[阪田、中野]
ピアソラ/リベルタンゴ[中野、金子]
◆3台ピアノ[中野、金子、阪田]
スメタナ(直江香世子編)/モルダウ
ラヴェル(駒井一輝編)/亡き王女のためのパヴァーヌ
トリプルピアノ・ファンタジア(初演)
~文京シビックホール スペシャル~ (中野翔太編)
- J.S.バッハ/主よ、人の望みの喜びよ
-アンダーソン/Sleigh Ride
- ドビュッシー/《夜想曲》より 第1番〈雲〉
- 坂本龍一/千のナイフ
料金
【全席指定・税込】
S席 4,000円
A席 3,000円
お問い合わせ
シビックチケット 03-5803-1111(10時~19時/土・日・祝休日も受付。)
