スペシャルインタビュー BUNKYO SIENA POPS in 東京文化会館

~「BUNKYO SIENA POPS in 東京文化会館」<第1回>2022年1月14日(金) <第2回>2022年3月10日(木)~

須川展也(サクソフォン)/榮村正吾(サクソフォン)/東 佳樹(打楽器)
スペシャルインタビュー

スーパー・サクソフォンプレイヤー須川展也とシエナ・ウインド・オーケストラの
サクソフォン&打楽器セクションのメンバーによるスペシャル・コラボが実現!
コンサートの聴きどころや、意気込みなどをたっぷり伺いました!

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サクソフォン

須川展也

Nobuya Sugawa

日本が世界に誇るクラシカル・サクソフォン奏者。長きにわたり、チック・コリア、ファジル・サイ、坂本龍一、西村朗、本多俊之、吉松隆、長生淳など、名だたる作曲家への委嘱を継続。国際的に広まっている楽曲が多くあり、クラシカル・サクソフォンの領域への貢献は計り知れない。国内外の著名オーケストラと多数共演。ウィーンのムジークフェラインをはじめ30ヶ国以上で公演やマスタークラスを行う。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。02年NHK連続テレビ小説「さくら」テーマ曲演奏。89-10年まで東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスター、07-20年までヤマハ吹奏楽団常任指揮者を務める。トルヴェール・クヮルテットのメンバー、東京藝大招聘教授、京都市立芸大客員教授。

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Photo:K.Miura

サクソフォン

榮村正吾

Shogo Sakaemura

東京芸術大学音楽学部器楽科を安宅賞を得て卒業。アサヒビール芸術文化財団の助成金を受け渡仏。フランス国立セルジー・ポントワース音楽院高等科を首席で卒業。同音楽院演奏科を修了。フランスをはじめ、ベルギー、イタリア、デンマーク等ヨーロッパ各国において演奏会、音楽祭に出演、好評を博す。帰国後のリサイタルでクリスチャン・ローバの「ハード」を日本初演。NHK―FM土曜リサイタルに出演。第10回サクソフォーンコングレス(イタリア)、同第11回(スペイン)にそれぞれ参加。サクソフォンを佐藤典夫、故大室勇一、冨岡和男、須川展也、ジャン=イブ・フルモーの各氏に師事。

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Photo:K.Miura

打楽器

東 佳樹

Yoshiki Higashi

1975年、大阪府出身。東京藝術大学卒業。
コンサートパーカッションを中心に、ドラム、ラテンパーカッション、ジャズヴァイブなど、多様な打楽器を演奏するマルチプレイヤー。オーケストラ、吹奏楽、室内楽、アーティストサポートなどの様々なコンサート、ミュージカルや舞台作品、スタジオワークなど、様々なシーンで音楽活動を展開している。蜷川幸雄演出「マクベス」でNY NEXT WAVE FESTIVAL 2002に参加。上野耕路&HIS ORCHESTRAのマリンバ奏者としてASIEN-PAZIFIK-WOCHEN BERLIN 2007に出演。MUSIC PLAYERS おかわり団メンバー。東 佳樹Quartet主宰。Innovative Percussionエンドーサー。


取材・文:東端哲也  写真:三浦興一

コロナ禍でがんばる皆さんを応援する気持ちも込めて

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ー東京文化会館で2夜にわたって、ポップスを中心に選りすぐりのヒットナンバーをお贈りする「BUNKYO SIENA POPS」公演。須川さんはこれまで何度もシエナ・ウインド・オーケストラと共演されていますが、今回はどのようなコンサートにしたいですか?

須川:吹奏楽は様々なジャンルの名曲を、幅広い音楽ファンに届けることができます。シエナのメンバーと一緒に、シリアスなものから楽しいものまで、たくさんの楽曲を演奏してゆきたいと思っています。今回は、コンパクトで機動性に優れた小編成のユニットで吹奏楽のエッセンスをお伝えしつつ、コロナ禍でがんばる皆さんを応援する気持ちも込めて、曲選びの段階から携わっています。

──須川さんが加わったことで、ふだんのシエナ・サックスよりも特別なものになりますね。

榮村:須川さんは私の藝大時代の恩師ですが、演奏家同士としては対等です。何度も共演しており、メンバーともすっかりお馴染みなので、そんなに緊張せずに良い演奏ができると思います。

時代に合った音を見つけることが大切

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─本公演は70分、休憩なしのプログラム。前半は須川さんをソプラノ・パートに迎えたサクソフォン・カルテット(四重奏)で、クラシックの名曲から始まります。

須川:ポップスやジャズの前にモーツァルトやバッハがいて、ずっと繫がっている。そんな連綿とした音楽の歴史を感じていただければ嬉しいです。

榮村:サクソフォンは比較的新しい楽器なので、モーツァルトやバッハが活躍していた頃にはまだ生まれていなかったのです。でも、やはり古典は私達の基本なので、それを踏襲しつつ、時代に合った音を見つけることが大切だと思います。

─ジョプリンやフォスターなどのアメリカンナンバーに続き、前半の最後を締めくくるのは、第1回も第2回も共通で、ディズニー映画《メリー・ポピンズ》の中からとびきり陽気なナンバー〈スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス〉ですね。

須川:この曲の聴かせどころは、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンそれぞれのソロ・パートを順番にリレーのようにして繫いでいくところ。それぞれの個性をアピールできるとともに、まるでバンドのメンバー紹介のようで、前半の締めくくりとしてふさわしいと思います。

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─後半は、須川さん率いるサクソフォン四重奏に東さんたち打楽器奏者2人(ドラムセットとパーカッション)が加わってパワーアップした「シエナ・サックス& ビーツ」が登場します。「シエナ・サックス&ビーツ」は、学校での訪問演奏をきっかけに34年前に結成されたユニットだとか。

東:打楽器奏者の自分が言うのも何ですが(笑)、弦楽器のいないウインド・オーケストラにとって、サクソフォンは要となる楽器です。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンによる4つのハーモニーが音色を作っている。そこに音楽の原点といわれる、リズムを担当する打楽器をプラスすることで、エッジの利いたアンサンブルとなり、演奏ジャンルの幅が広がります。

榮村:サクソフォン奏者の自分が言うのも何ですが(笑)、打楽器はウインド・オーケストラを動かす重要な歯車で、欠くことのできない楽器です。単にリズムだけではなくて、効果音や音の薄い部分を補う役割。色彩のパレットを増やしてくれる存在です。


─後半に演奏するのは過去の「BUNKYO SIENA POPS」で取り上げ、人気を博した楽曲が中心で、それを「シエナ・サックス&ビーツ」用に新たにアレンジしたものですね。


須川:今までの集大成ではあるけれど、形を変えて振り返るので、どうぞお楽しみに。

東:どれも名曲揃いですが、個人的には〈ジェームズ・ボンドのテーマ〉が楽しみです。映画の最新作も延期を重ねてやっと公開されたことですし、2019年の公演でも取り上げ、好評でした。打楽器担当としては、フル編成のオーケストラの時と違い、小編成ならではの繊細な音をつくっていきたいです。

再開に向けて、しっかり繫げていきたい

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──〈エル・マンボ〉や〈マンボ№ 5〉といったラテン・ナンバーや〈情熱大陸〉は過去の「BUNKYO SIENA POPS」で取り上げていなかったのでは?

東:〈マンボ№ 5〉は、ふだんのシエナ公演で数えきれないほど演奏しています。客席から掛け声をもらうのも「お約束」ですが、今は感染症予防上難しいので、ステップを踏んだり、手でリズムを打ったりして参加をお願いしようかと思っています。〈情熱大陸〉は「シエナ・サックス&ビーツ」では定番曲になっていますが、今回はさらに打楽器を追加しようかと思案中です。


──文京シビックホールのリニューアルが待ち遠しいですね。

須川:はい。まずこの公演を成功させて文京シビックホールでの「BUNKYO SIENA POPS」再開に向けて、しっかり繫げていきたいものです。

榮村・東:そうですね!

取材・文:東端哲也(ひがしばたてつや)

1969年徳島市生まれ文京区在住。立教大学文学部日本文学科卒。音楽や映画まわりを中心としたフリーランスのライター。インタビュー仕事が得意で守備範囲も広いが本人は海外エンタメ好き。
Twitter:batajan

BUNKYO SIENA POPS in 東京文化会館

<第1回>2022年1月14日(金)19:00開演
<第2回>2022年3月10日(木)19:00開演

東京文化会館 小ホール

出演

須川展也(サクソフォン)
シエナ・サックス&ビーツ(サクソフォン&打楽器)

曲名

<第1回>
G線上のアリア (作曲:J.S.バッハ)
イタリア協奏曲より 第1楽章 (作曲:J.Sバッハ/編曲:栃尾克樹)
ラグタイム組曲 (作曲:S.ジョプリン/編曲:A.フラッケンポール)
銀河鉄道999 (作曲:タケカワユキヒデ/編曲:滝澤俊輔)
スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス〈映画「メリー・ポピンズ」より〉(作曲:R.シャーマン/編曲:高橋宏樹)
大脱走のテーマ (作曲:E.バーンスタイン/編曲:三浦秀秋)
ケンタッキーの我が家(作曲:S.フォスター/編曲:三浦秀秋)
イン・ザ・ムード(作曲:J.ガーランド/編曲:三浦秀秋)
エル・マンボ(作曲:P.プラード/編曲:三浦秀秋)
情熱大陸(作曲:葉加瀬太郎)
ティコ・ティコ(作曲:Z.アブレウ)
ほか


<第2回>
アヴェ・ヴェルム・コルプス (作曲:W.A.モーツァルト)
サクソフォーン四重奏曲より 第4楽章 (作曲:F.et M.ジャンジャン)
THE DOO-DAH SUITE〈フォスターのメロディーより〉草競馬〜金髪のジェニー〜スワニー河(作曲:S.フォスター/編曲:B.ファルコム)
ダッタン人の踊り〈歌劇「イーゴリ公」より〉 (作曲:A.ボロディン/編曲:石川亮太)
スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス〈映画「メリー・ポピンズ」より〉(作曲:R.シャーマン/編曲:高橋宏樹)
エデンの東 (作曲:L.ローゼンマン/編曲:三浦秀秋)
酒とバラの日々 (作曲:H.マンシーニ/編曲:三浦秀秋)
ジェームズ・ボンドのテーマ(作曲:M.ノーマン/編曲:三浦秀秋)
マンボNo.5 (作曲:P.プラード/編曲:三浦秀秋)
情熱大陸(作曲:葉加瀬太郎)
ティコ・ティコ(作曲:Z.アブレウ)
ほか

料金

全席指定:1,500円

お問い合わせ

シビックチケット 03-5803-1111(10時~19時/土・日・祝休日も受付。)

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聴く機会の少ない、おもしろい響きが生まれるはず