響きの森クラシック・シリーズ 2024-2025シーズン

選りすぐりの名曲を、四季を通じて堪能できる人気のサタデー・アフタヌーン・コンサート!

響きの森クラシック・シリーズ 2024-2025シーズン
全4回ラインアップ紹介

東京フィルハーモニー交響楽団による人気シリーズ公演「響きの森クラシック・シリーズ」
2024-2025シーズンも選りすぐりのラインナップが出揃いました。
シリーズ4公演の聴きどころを、音楽ライターがご紹介いたします!

文:柴田克彦

 

「響きの森クラシック・シリーズ」は、日本最古の歴史を誇る東京フィルハーモニー交響楽団が、一流指揮者やソリストと共におくる名曲を、響きの良い文京シビックホールで年4回味わえる大人気シリーズ。2024-2025シーズンは、バラエティに富んだプログラムが組まれており、ポピュラーな交響曲や管弦楽曲のほか、様々な楽器の協奏曲が披露される。

 指揮者は、当シリーズの"顔"でもある"炎のマエストロ"コバケンと、例年熱演を届けている東京フィルの首席指揮者バッティストーニに加えて、マルチな才人・鈴木優人がシリーズ初登場。その手腕に注目が集まる。

 ソリストはスター奏者がズラリと揃う。高い人気を集めるヴァイオリンの神尾真由子、辻 彩奈に加えて、ピアノの小林愛実、チェロの宮田 大、ヴァイオリンの吉本梨乃が初登場。話題の名手やフレッシュな才能に、毎回触れることができる。

Vol.80

2024年6月8日(土)15:00開演

     Vol.80.png     

出演:小林研一郎(指揮)
   小林愛実(ピアノ)
曲目:
モーツァルト/ピアノ協奏曲第
20
スメタナ/連作交響詩「わが祖国」より

 シーズンの幕開けを飾るのは、コバケンこと小林研一郎。お馴染みの熱いタクトに、話題のピアニスト・小林愛実が美しき彩りを添える。

 小林研一郎は、国内外の数々のポストを歴任してきた、日本を代表するマエストロ。現在は、日本フィル桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィル・名古屋フィル・群響桂冠指揮者、読売日響特別客演指揮者、九響名誉客演指揮者、東京藝術大学・東京音楽大学・リスト音楽院名誉教授等を務めている。

 小林愛実は2021年のショパン国際ピアノコンクール第4位入賞で俄然知名度を高めた俊才。1995年生まれの彼女は、9歳で国際デビューを果たすなど、幼少期から実力を認められ、内外のオーケストラとの共演やリサイタルのほか、CD録音や「情熱大陸」等のメディアでも脚光を浴びている。

 今回はまず彼女がソロを弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第20番が楽しみだ。曲は、天才が深淵な世界への変貌を遂げた、稀少な短調協奏曲。陰影豊かな名曲を、ベテラン・マエストロのサポートを得た小林愛実がどう奏でるか? 彼女の進境を知る絶好の機会となる。

 後半はコバケンの十八番中の十八番「わが祖国」からの楽曲が披露される。チェコ国民楽派の父スメタナの代表作「わが祖国」は、同国の自然や歴史を描いた全6曲の連作交響詩。哀愁を帯びた旋律や迫真的な描写など魅力満載の音楽は、チェコ国民の象徴であるのみならず、日本人の琴線を刺激してやまない。小林研一郎は、チェコ・フィルの常任客演指揮者時代にCDも録音。2002年には「プラハの春音楽祭」のオープニングコンサートの指揮を東洋人では初めて受け持ち、同曲を演奏して話題を呼んでいる。むろん日本でも様々な楽団と再三名演を展開。あらゆるフレーズが息づく雄弁極まりない演奏を聴かせている。それだけに、円熟味を増した今の彼が紡ぐ音楽への期待は限りなく大きい。なお第2曲「モルダウ」は超有名だが、今回は果たしてどの曲が演奏されるか? どうぞお楽しみに。

Vol.81

2024年10月5日(土)15:00開演

   Vol.81.png     
   

 出演:小林研一郎(指揮)
    神尾真由子(ヴァイオリン)
 曲目:
 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲

 ベルリオーズ/幻想交響曲

 指揮は再び小林研一郎。世界的ヴァイオリニスト、神尾真由子も出演し、人気の大曲を披露する。

 神尾真由子は、2007年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝して以来、第一線で活動を続ける実力者。内外の著名オーケストラや、デュトワ、ロストロポーヴィチ、インバルといった大指揮者との共演、欧米や日本でのリサイタル、数々のCD等で賞賛を博している。

 演目はまずベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。晴れやかさと気品に充ちた曲調をもち、"歌う"ヴァイオリンの特性が壮大な規模で追求されるこの曲を、強靭なテクニックと深い表現力を有する神尾がいかに奏でるか? コバケンの強力なサポートも心強い今回は、堂々たる風情と美麗な歌が共存した名演が期待される。

 後半はベルリオーズの「幻想交響曲」。舞台裏のオーボエや鐘も用いた前代未聞の楽器法と、芸術家の奇怪な夢を描写した内容が革新的なこのフランスの傑作も、コバケンの超十八番であり、底知れぬ迫力やめくるめく色彩感、深くスケールの大きな表現は、他の追随を許さない。ここは、東京フィルの名人芸も相まって、オーケストラ音楽の醍醐味を存分に満喫できるだろう。

Vol.82

2025111日(土)15:00開演

  Vol.82.png 

出演:鈴木優人(指揮)
   吉本梨乃(ヴァイオリン)
   宮田 大(チェロ)
曲目:
J.シュトラウスⅡ/ワルツ「春の声」
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲

  指揮の鈴木優人、チェロの宮田 大、ヴァイオリンの吉本梨乃が皆シリーズ初登場という、極めて新鮮な公演だ。

 鈴木優人は、バッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者、読売日響の指揮者/クリエイティヴ・パートナー、アンサンブル・ジェネシスの音楽監督、関西フィルの首席客演指揮者を務め、指揮者及び鍵盤楽器奏者として第一線で活躍。古楽とモダンを股にかけ、作・編曲家やプロデューサーとしても才腕を発揮している。 

 宮田 大は2009年ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人初優勝を果たした名手。その圧倒的な演奏は、かの小澤征爾にも絶賛され、日本を代表するチェリストとして国際的な活動を続けている。

 吉本梨乃は、2022年クライスラー国際コンクール第2位ほか国内外のコンクールで数々の受賞歴を誇り、2019年にはカーネギーホールとウィーン・コンツェルトハウスで初公演を行っている。また、ウィーン室内管、ウィーン放送響等、国内外のオーケストラと共演し、2022年からウィーン・フィルの代理奏者も務めている。

 幕開けは新年らしく華やかなヨハン・シュトラウス2世のワルツ「春の声」。鈴木のウィンナ・ワルツの表現も注目点だ。続いてお馴染みの協奏曲が2曲。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は優美で鮮やかな吉本のソロ、ドヴォルザークのチェロ協奏曲は雄大で芳醇な宮田のソロに熱視線が注がれる。これら有名曲を通して、フレッシュアーティスト吉本の才能、すでに第一人者といえる宮田の貫禄の名技を堪能できるのが嬉しく、鈴木の協奏曲の表現を含めて、各曲が興味津々だ。

Vol.83

20253月22日(土)15:00開演

   Vol.83.png     
 出演:アンドレア・バッティストーニ(指揮)
    辻 彩奈(ヴァイオリン)
 曲目:
 ベルリオーズ/序曲「海賊」
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」

 東京フィルの首席指揮者アンドレア・バッティストーニが今シーズンを締めくくる。ソリストは活躍顕著なヴァイオリンの辻 彩奈。これは溌剌とした音楽を満喫できる公演だ。

 1987年イタリア生まれのバッティストーニは同世代の最も重要な指揮者の一人。2016年東京フィルの現ポストに就任して以来数多くのプログラムを指揮し、「トゥーランドット」をはじめとするコンサート形式オペラでも高い評価を得ている。また、スカラ座、バイエルン国立歌劇場、イスラエル・フィル等、世界の主要歌劇場やオーケストラにも出演を重ねている。

 辻 彩奈は、201618歳にしてモントリオール国際音楽コンクール第1位及び5つの特別賞を受賞し、国内主要楽団のほか、モントリオール響、スイス・ロマンド管等の海外オーケストラと共演している。また12歳以降、各地でリサイタルを開催。チェロの堤剛やピアノのアルゲリッチらとも共演している。

 バッティストーニの持ち味は熱気と躍動感に充ちたインパクト絶大な音楽。1曲目のベルリオーズの序曲「海賊」は、疾走感や生気が横溢した作品だけに、まさしくピッタリだ。おつぎのグラズノフのヴァイオリン協奏曲は、抒情的な楽章と活気溢れる楽章を難技巧のカデンツァで繋いだコンパクトな逸品。表現意欲旺盛な辻のソロが大きな聴きものだ。後半のベートーヴェンの交響曲第6番「田園」は、田舎における人間の心象を描いた標題交響曲の草分け。ベートーヴェンの中でも温和な曲だけに、バッティストーニの表現が興味深く、かつてないほど活力が漲った清新な「田園」を聴ける可能性も十分にある。

 

 

 この多彩なラインナップ。ぜひともセット券を入手し、1年を通して満喫したい。

取材・文:柴田克彦(しばたかつひこ)

音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。
「ぶらあぼ」等の雑誌、公演プログラム、WEB、宣伝媒体、CDブックレットへの取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や一般の講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)、「1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集」(音楽之友社)。文京シビックホールにおける「響きの森クラシック・シリーズ」の曲目解説も長年担当している。

響きの森クラシック・シリーズ 2024-2025シーズン シリーズセット券(4回連続券)

シビックチケットのみの取扱い

シビックチケット03-5803-1111

(10時〜19時/土曜日・日曜日・祝日も受付。ただし、12月28日から1月4日は休業。)

【セット券販売期間】

2023年12月17日(日)10:00~2024年3月31日(日)19:00までの期間限定販売

 ※セット券は4公演同一席のみの販売となります。

4公演セット券 
S席 18,500円 A席 15,500円 B席 13,500円 (車いす席はB席と同価格)

【1回券の発売日は後日ホームページ・チラシ・広報紙等で発表いたします】

響きセット券2024-2025チラシ表.jpg