夜クラシック 2024-2025シーズン

人気アーティストの演奏による極上の音楽で安らぎのひとときを・・・

夜クラシック 2024-2025シーズン<10周年記念シリーズ>
全4回ラインアップ紹介

テーマ曲「月の光」ではじまり、人々を安らぎのひとときへ誘う「夜クラシック」
シリーズ10周年となる2024-2025シーズンの聴きどころを、音楽ライターがご紹介いたします!

文:高坂 はる香

 文京シビックホール「夜クラシック」は、優れたアーティストたちがトークと共に、シリーズテーマ曲「月の光」にはじまるプログラムを届けてくれる、人気コンサートシリーズ。 

 2014年のスタート以来、ここでしか聴けないアーティストの組み合わせ、"夜クラ"のコンセプトに合わせた特別なプログラムで、音楽ファンから注目を集めてきた。2024-2025シーズンは、10周年という節目の年を迎えるということで、その特別度がますますアップ!チェロ四重奏やコントラバス十重奏といっためったに聴けない編成のコンサートをはじめ、生演奏では聴ける機会が少ない特別なピアノ、日本人作曲家の作品などに触れることができる、魅力的なラインナップが用意されている。

 アーティストたちも、若手からベテランまで豪華な顔ぶれ。それぞれの公演の聴きどころ、注目ポイントをご紹介しよう。

Vol.33

2024823日(金)19:00開演

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出演:横坂 源・上野通明・水野優也・柴田花音(チェロ四重奏)

曲目:
ジョンゲン/2つの小品
デューク・エリントン/Sophisticated Lady
J.S.バッハ/「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」 より
      "シャコンヌ"
ピアソラ/アディオス・ノニーノ
ガーシュウィン/ポートレート ほか

 チェロ四重奏の"夜クラ"登場はもちろん初めてだが、そもそもこの編成のコンサート自体、聴ける機会はそう多くない。しかもその顔ぶれは、ソリストとして活躍し、今注目を集める中堅・若手トップのチェロ奏者たち。

 ミュンヘン国際音楽コンクール入賞の横坂 源、ジュネーヴ国際音楽コンクール日本人初優勝の上野通明、エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞の岡本侑也、日本音楽コンクール&東京音楽コンクール優勝の水野優也と、経歴に加え、人気と実力ももちろん折り紙付きのメンバーが集合する。

 プログラムは、チェロのみの四重奏で奏でる「月の光」にはじまり、J.S.バッハから、ピアソラ、ガーシュウィン、さらにはジャズのデューク・エリントンまで含む、時代も国もジャンルも超えた、チャレンジングなもの。優れたテクニックと多彩な表現力を駆使して、それぞれの楽曲の世界観を生き生きと描き分けてくれるだろう。

 4人の男性チェリストが、ときに力強くリズムを刻み、ときにあたたかく歌い上げるチェロの"四重唱"で誘う夜の世界。大いに期待できそう。

  

〈出演者変更のお知らせ〉(2023年12月13日更新)
本公演に出演を予定しておりました岡本侑也は、都合により出演できなくなりました。
代わって、柴田花音が出演いたします。

なお、この変更に伴うシーズンセット券の払い戻しはございません。
お客様におかれましては、何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。

●柴田花音 Kanon Shibata
第14回ビバホールチェロコンクール第1位。第92回日本音楽コンクールチェロ部門第2位。Robert W. and G.Ann Corcoran Concerto Competition 2022グランプリ受賞(カナダ)。他受賞多数。使用楽器は宗次コレクションより貸与されたGiovanni Grancino(1694製)、使用弓は西村賢治氏より貸与されたEugène Sartory。



Vol.34

20241122日(金)19:00開演

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出演:
[東京フィルハーモニー交響楽団 コントラバスセクション]
片岡夢児・黒木岩寿・遠藤柊一郎・小笠原茅乃・岡本義輝・小栗亮太
熊谷麻弥・菅原政彦・田邊朋美・中村元優(コントラバス十重奏)
[特別出演]中島郁子(メゾソプラノ)



曲目:ボッテジーニ/パッショーネ・アモローザ
フォーレ/「レクイエム」 より"ピエ・イエズ"
ホルスト/組曲「惑星」より"木星" ほか

 Vol.34もまた珍しい編成。"夜クラ"10周年を記念したスペシャルな企画として、なんとコントラバス十重奏という、ほとんどの方にとって未体験であろうアンサンブルが登場する。

 出演するのは、文京シビックホールが事業提携を結ぶ、東京フィルハーモニー交響楽団の2人の首席奏者を筆頭とするコントラバスセクションフルメンバーと、ゲストに、多くのオペラの舞台などで活躍中のメゾソプラノ、中島郁子だ。

 複数のコントラバスによる多様な組み合わせで、ボッテジーニやフォーレなどバラエティ豊かなレパートリーが披露される。その中で特に注目したいのが、全奏者で奏でるホルストの「惑星」より"木星"。オーケストラにおける最も大きな弦楽器が10台、それを10人の奏者が奏でるとき、一体どんな響きが生まれるのか......コントラバスが生み出す特別な音の振動を体験することができる、貴重な機会だ。もちろん恒例のトークコーナーもあり。これもまた普段なかなか聞くことのできない、"コントラバス奏者トーク"も楽しみにしたい。

Vol.35

2025117日(金)19:00開演

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出演:仲道郁代(ピアノ/使用楽器=ヤマハCFXと1842年製プレイエル)

曲目:〈ヤマハとプレイエルで聴き比べるショパン名曲選〉
ショパン/ノクターン第2番
ショパン/ノクターン第20番 遺作
    「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
ショパン/ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」
ショパン/バラード第1番
ショパン/ポロネーズ第6番「英雄」 ほか

  記念すべきVol.1にはじまり、これまで"夜クラ"にさまざまなスタイルで出演してきた、ピアニストの仲道郁代。今回は久しぶりにピアノソロで登場。2種類の楽器の音色を聴き比べるという、ピアノ音楽の奥深い魅力を知ることができる企画を用意してくれた。

 使用されるピアノのひとつは、モダンピアノで、おなじみの日本のメーカーであるヤマハのコンサートグランドピアノCFX。そしてもうひとつは、かつてショパンが愛奏したことでも知られるフランスの老舗、プレイエル社製のピアノ。しかも今回は仲道が所有する、ショパンが生きた時代の1842年に作られた楽器が会場に持ち込まれる。

 ピアノという楽器が大きなホールに対応する現代の作りになったのは、19世紀後半のこと。それ以前のピアノはより繊細なつくりと音色を持ち、タッチも今とは異なるものが求められた。ショパンが作曲し、演奏するとき実際に使っていたのは、こうした楽器ということになる。

 そこで今回仲道が行うのは、ショパンの名曲の数々を二つの時代のピアノを使って演奏し、それぞれの魅力を浮き彫りにするというコンサート。その違いがよりわかりやすいような工夫も予定されている。

 ショパンの時代の味わい深い音と出会い、同時にモダンピアノの研ぎ澄まされた魅力も楽しむことができる。好奇心を刺激してくれる時間になりそうだ。


Vol.36

2025328日(金)19:00開演

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出演:大谷康子(ヴァイオリン)、福間洸太朗(ピアノ)

曲目:〈"夏目漱石と月"に寄せて〉
エルガー/愛の挨拶
山田耕筰/哀詩‐瀧 廉太郎「荒城の月」を主題とする変奏曲
幸田 延/「ヴァイオリン・ソナタ第1番」より 第1楽章
貴志康一/竹取物語
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番「月光」
フランク/ピアノ・ソナタ ほか

 ソリストとして、オーケストラのソロ・コンサートマスターとして第一線で活動し続け、2025年にはデビュー50周年を迎えるヴァイオリニストの大谷康子が、"夜クラ"に初登場。共演は、"夜クラ"には2度目の登場、ヨーロッパで長らく学び、現在もドイツと日本を拠点に活動する人気ピアニストの福間洸太朗だ。ベテランと気鋭のアンサンブルで、気品がありながらエキサイティングな掛け合いを繰り広げる。

 そんな二人がどんなハーモニーを生み出すのかも楽しみだが、加えて今回興味を引くのは、"夏目漱石と月"をテーマに選曲されたプログラムだ。

 エルガーの「愛の挨拶」やフランクのヴァイオリン・ソナタ、ピアノソロによるベートーヴェンの「月光ソナタ」といったクラシックのマスターピースに加えて、生で聴ける機会の少ない楽曲も並ぶ。中でも目立つのが、日本の西洋クラシック音楽黎明期を支えた作曲家たちの作品の存在だ。明治時代にヨーロッパ留学し、初めての日本人演奏家、作曲家として活躍したとされる女性、幸田 延のヴァイオリン・ソナタ、誰もが知る山田耕筰の「荒城の月」を主題とする変奏曲や、20世紀前半を生きた夭折の天才、貴志康一の「竹取物語」など、現代日本のクラシック音楽界の礎を築いた作曲家たちの音楽を知る機会となるだろう。

 演奏活動の傍ら長くテレビ番組でも活躍する大谷と、さわやかで知性的なキャラクターの福間による曲間のトークもあわせて、盛りだくさんの内容に期待したい。

 

 ユニークな楽器編成や選曲、こだわりのコンセプトなど、他では聴くことのできない趣向を凝らした公演が続く、10周年記念シリーズ。テーマ曲である「月の光」についても、来シーズンは間違いなく、これまで一度も聴いたことのない編成の演奏に出会えるはずなので、「月の光」ファンには聴き逃せない!

 音楽の世界をさまざまな切り口から縦横無尽に旅することで、新しい扉を開いてくれるシーズンになりそうだ。

取材・文:高坂はる香(こうさかはるか)

音楽ライター、編集者。大学院でインドのスラム支援プロジェクトを研究。その後、ピアノ専門誌の編集者を経て、2011年よりフリーライターとして活動。国内外でピアニスト等の取材を行うほか、世界のピアノコンクールの現地レポートも配信している。著書に「キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶」(集英社刊)。
HP「ピアノの惑星ジャーナル

夜クラシック 2024-2025シーズンセット券(4回連続券)

シビックチケットのみの取扱い

シビックチケット03-5803-1111

(10時〜19時/土曜日・日曜日・祝日も受付。ただし、12月28日から1月4日は休業。)

【セット券販売期間】

2023年12月3日(日)10:00~2024年3月31日(日)19:00までの期間限定販売

 ※セット券はS席のみ販売いたします。
 ※セット券は4公演同一席のみの販売となります。

4公演セット券 S席 9,000円
(1回券 S席3,000円、A席2,000円)1公演分3,000円 お得!!

【1回券の発売日は後日ホームページ・チラシ・広報紙等で発表いたします】

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