「魂の歌」~東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト~

「魂の歌」~東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト~ 記者会見レポート

コンサート情報

イメージ

——「魂の歌」~東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト~ とは

 作曲家・岩代太郎を発起人とし、8人の作曲家たちが集結して立ち上げた東日本大震災復興支援を目的とした音楽プロジェクト。
 8人の作曲家がそれぞれの想いを込めて書き下ろした新曲を東京都交響楽団の演奏により収録したCDアルバム「魂の歌」を製作。作家・重松清が書き下ろした2つの文も、朗読とギター独奏により収録している。CDはSHOCHIKU RECORDSより3月13日に発売される。CD販売における作曲家の印税収入の全額が、むこう3年間に渡り、日本音楽著作権協会JASRACの「こころ音プロジェクト」を通じて、復興支援関連団体へと寄付される。あわせて「魂の歌」CDアルバムの収益金及び4月16日に文京シビックホール 大ホールで開催される、CD発売記念コンサートの収益金についても、魂の歌実行委員会より、復興支援関連団体へ寄付される。
※寄付金に関するご報告は後日「魂の歌」ホームページにて掲載。

「魂の歌」ホームページ

イメージ

<岩代太郎 コメント>

——「魂の歌」プロジェクト立ち上げのきっかけと経緯

 震災の1ヶ月後あたりから、多くの音楽家やアーティストの方々からご連絡をいただき、太郎さんが何かチャリティでオーケストラ・エイド的なことをやるのであれば、ぜひ参加したいから声を掛けてほしいというお声をたくさんいただきました。
 当初私はそのような企画は考えておらず、被災地で医療、飲食、教育など、ご自分の専門分野でボランティア活動をされている方々をテレビで拝見しながら、あそこに僕は作曲家という肩書きで訪れても何の役にも立てないなあと、忸怩たる思いを抱きながら被災地の映像を呆然と見つめるだけでした。そんな中、いろんな方々からのお声を思い出し、それに奮い立たされ、自分も音楽家として、できる限りのことをしようと決心しました。初めに、この数年理事という立場でご縁を頂いている、東京都交響楽団さんに何か出来ないだろうかということをご相談に上がり、その後、文京アカデミー並びに文京シビックホールの関係者の皆さまに、この企画をお話したところ、本当に快く、二つ返事でとにかくやりましょうとお返事をいただきました。

——たくさんの方々の力添え

 プロジェクトに関わるほぼ全ての関係者から、無償での参加にご賛同いただきました。1人欠けても、ここまで辿り着かなかっただろうなというほど、本当にみなさんに献身的にお力添えをいただいています。
 先日、音楽の仕上げ作業で自分の曲も含めて皆さんの音源を聴いた時には、作曲家お1人おひとりの顔が次から次に浮かんで、なんて僕は幸せ者だろうと目頭が熱くなったのを今でもはっきりと憶えています。皆さんには感謝の言葉もございません。

——作品に込めた想い 岩代太郎作曲「魂の輝き、それはFと共に Brightness of Soul, together with F」

 震災があった年の年末に待望の長女を授かりました。その4ヶ月後には、私の父が肺がんで他界しました。そういった命のリレーを目の当たりにした時期に、ちょうどこの企画の準備を始めました。ですので今回の私の曲は、そういった誕生と旅立ちという命のリレーみたいなものに想いを寄せています。
 私の曲名にある「Fと共に」のFというのは、文字通り"ファ"の音です。曲の最初から最後までずっと"ファ"の音がどこかしらのパートに持続しておりまして、これは私にとって要するに、命のリレーの一筋の流れで、このFの言葉の意味にはforeverだったり、farewellだったり、fatherだったりという、そういう言葉の意味も込めて、「魂の輝き、それはFと共に」という曲にさせていただきました。娘をみる度に、改めてこの企画を立ち上げて良かったと日々思っております。

<池辺晋一郎 コメント>

——作品に込めた想い 池辺晋一郎作曲「もうひとつ―オーケストラのために― Mou Hitotsu(One More)for Orchestra」

 ハイチの大地震の時にアメリカの作曲家たちが共同プロジェクトをやったという話を、岩代くんも僕も知っていて、何か出来るのではないかとずっと思っていました。岩代くんから連絡を受けた時は、彼が言いだしてくれたというありがたさでいっぱいでした。
 「もうひとつ」というタイトルについてですが、こういう時に日常の自分の営為に対して、もう一つプラスアルファをすることが支援につながるのではないかということをずっと考えていました。別な言い方をすると「ハチドリのひとしずく」です。1人ひとりの力は小さいかもしれないけど、もうひとつ、普段やらなかったことをやろう、やってみよう、東北へ届けよう、そういう気持ちがあることが、結果的に大きな支援に膨らむかもしれない。その想いでこのタイトルをつけました。具体的には、ほとんどが五拍子の曲で、その五拍めを、「もうひとつ」という設定にしました。1、2、3、4、"5"にアクセントがあったり、あるいはそこに別のものが来たりという、とてもわかりやすい曲です。

イメージ

イメージ

<村松崇継 コメント>

——作品に込めた想い 村松崇継作曲「誓い」

 昨年、石巻に取材で行くことがあり、そこで被災地を見た時に、自分の音楽で被災地の方々に何か出来たらなと思っていたところ、このプロジェクトのお話をいただき、本当にありがたいと思っています。
 僕は高校生の頃に「白線流し」というドラマをよく拝見していました。そのドラマで音楽を担当されていた、岩代さんのような作曲家になりたいと思って頑張ってきました。今回その岩代さんからこのプロジェクトの依頼を受け、本当に今まで作曲の仕事を続けてきて良かったと思いました。
 僕の「誓い」という曲は、聴かれた方々が明日へ一歩踏み出す時に、勇気や希望を感じとっていただけたらと思い書かせていただきました。最初はレクイエム風に始まり、中盤は躍動的に、やがて大きなフィナーレを迎えます。まだオーケストラを書き始めて間もないのですが、今回頑張って書かせていただきました。ぜひ聴いてみてください。

<山下康介 コメント>

——作品に込めた想い 山下康介作曲「交響的スケッチ2012 ―オーケストラのための― Symphonic Sketches 2012 for Orchestra」

 このお話をいただいてから被災地へと足を運びました。その時はガレキの山もだいぶ片付いていて、復興という姿が少し見えてきた頃でした。2日間で各地を巡ってきただけなので、全てをうかがい知ることはできませんでしたが、現地で目にしたもの、そして感じたものを音で表現したいと思って書きました。
 「交響的スケッチ」という、ちょっと抽象的なタイトルにしたのは、目で見た風景もあれば、心の中の風景もあり、自分のそういう「想い」や、言葉に出来ない部分というのを、音楽で表現したためです。
 僕の曲だけでなく、このプロジェクトとすべての曲がより多くの人に、より良いかたちで知っていただくことが出来たら嬉しく思います。

イメージ

<司会 松本志のぶ>

 CDの最初と最後に収められています重松清さん書き下ろしによる二つの作品、「序文 あの町で~春」、「末文 あの町で~秋」を朗読してくださいました、俳優の役所広司さん、そしてギター演奏をしてくださいました村治佳織さんからも、このプロジェクトへの想いなどを聞かせていただきたいと思います。

イメージ

<村治佳織 コメント>

 この度はこのような意義のあるプロジェクトに参加させていただき、本当にありがたく思います。岩代さんの作品を演奏することも大変嬉しいことですが、復興に向けて私も力になりたいと思い、すぐにお引き受けしました。
 震災から1年経って、陸前高田と気仙沼にお仕事とは全く関係のないかたちで行き、被災地の荒れ果てた光景を見て、復興には大変な時間がかかるであろうと思いました。震災が起きてすぐは音楽家としては何も出来ず、一人でも多くの命が助かることを祈っていました。長い復興の中では、みなさんの心が折れそうになり、深い悲しみからなかなか希望を見い出せない方たちもたくさんいらっしゃると思います。言葉で「頑張ってね」と励ますよりも、音楽の力には、違う情景を見ることができ、日常を忘れて、音の世界に入り込めるというところがあるので、私はその力を感じて、微力ながら皆さまのお役に立ちたいと願っています。皆さまにも、その音楽の力を感じていただきたいと思います。
 天に行かれてしまった魂に届くように、私は、常々そういうことを想いながら演奏しています。今回はよりその気持ちを強く持って、レコーディングに参加させていただきました。4月のコンサートの時も、同じ思いで演奏したいと思っています。

<役所広司 コメント>

 このプロジェクトに参加出来たことをすごく幸せに思っています。個人では東北の被災地に赴き、子供たちの心のケアになるような活動に参加しましたが、一日でも早い復興を目指し、孫の代までこうした活動を続けていくことが必要だと感じています。
 今回、本当に馴染みの深い作曲家の皆さんにお声を掛けていただき、重松さんの詩文も朗読させていただくという、俳優として誇らしい仕事をさせてもらいました。
 これから「魂の歌」プロジェクトが、さらに若い人たちに引き継がれ、「魂の歌」2、3、4と、二桁くらいまでいかないと本当の復興は見られないのではないかと思います。これを機会に皆さんのお力をお借りして、このプロジェクトが成功し、今後も続けられる様にどうぞお力をお貸しください。

イメージ

「魂の歌」~東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト~ CD発売記念コンサート

2013年4月16日(火) 19:00開演

シビックメンバーズweb

イメージ

コンサート情報