スペシャルインタビュー オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo

~2020年10月25日(日)「オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo」~

原田慶太楼(指揮)
スペシャルインタビュー

2019年8月に締結した文京区と金沢市の友好交流都市協定をきっかけに実現した豪華な本公演。
このスペシャルなコンサートを指揮する原田慶太楼に、
公演への思いや意気込みを語っていただきました!

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©Claudia Hershner

指揮

原田慶太楼

Keitaro Harada

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている俊英。2020年シーズンから、アメリカジョージア州サヴァンナ・フィルハーモニックの音楽&芸術監督に就任。ヒューストン、インディアナポリス、メンフィス、ルイジアナ、ウエストバージニア、ツーソン、フェニックス、ハワイ等のオーケストラ、日本国内では様々なオーケストラと共演。オペラ指揮者としても実績が多く、アリゾナ・オペラのアシスタント・コンダクターとして、<連隊の娘><カルメン><トスカ>ほかの作品を手がけてきた。シンシナティ・オペラ、ブルガリア国立歌劇場、国内ではフェニーチェ堺のオペラに登場。 2010年タングルウッド音楽祭で小澤征爾フェロー賞、2013年ブルーノ・ワルター指揮者プレビュー賞、2014・2015・2016・2020年米国ショルティ財団キャリア支援賞を連続受賞。 1985年東京生まれ。インターロッケン芸術高校音楽科において、指揮をF.フェネルに師事。指揮法をロシアのサンクトペテルブルクで学び、2006年21歳のときにモスクワ交響楽団を指揮してデビュー。オーケストラやオペラのほか、室内楽、バレエ、ポップスやジャズ、そして教育的プログラムにも積極的に携わっている。2021年4月より東京交響楽団正指揮者に就任する。

オフィシャル・サイト http://kharada.com/  @KHconductor


取材(メールインタビュー)・文:柴田克彦

今回その夢がかなってとても嬉しいですね

原田さんはオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)とは初共演とのことですが、OEKにどんなイメージを抱いていますか?

 まずはもちろん"日本を代表する室内オーケストラ"です。私は日本での滞在時間がいつも限られていますので、まだ生演奏を聴いたことはありませんが、「題名のない音楽会」や、YouTubeでそのサウンドは知っています。またCDも時間のある時に聴いていて、中でも岩城マエストロ(OEKを創設した名指揮者・岩城宏之)のブラームスの録音が大好きです。それにOEKのことは日本の音楽家仲間からよく耳にしていたので、いつかは一緒にコラボしたいと思っていました。今回その夢がかなってとても嬉しいですね。

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ⒸClaudia Hershner

今回の共演にあたって何か特別な思いはありますか?

 文京シビックホール20周年という記念すべきコンサートにOEKと共に参加できるのは格別な思いです。OEKのサウンド、ゴージャスなソリストたちとの音楽を、東京にいるOEKファン、そして文京シビックホールファンにたっぷり聴いてもらいたいと思います。

フル・オーケストラとは異なる、室内オーケストラならではの妙味は何でしょうか?

 フル・オーケストラとは全然違った、室内オーケストラだからこそ作れるエネルギーがあります。室内オーケストラの最大のプラス面は、演奏家たちの一体感を得やすいこと。フル・オーケストラに比べてメンバー全員の距離感が小さい(一番端に位置する楽員同士の距離が短い)ので、コミュニケーションが取りやすく、ちょっとした変化にも素早く対応できます。

絶対に演奏したかったのがメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」

今回のプログラム(ヴィヴァルディ/「四季」より"春""冬"、メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」、メンデルスゾーン/劇付随音楽「夏の夜の夢」より"スケルツォ"、ショパン/ピアノ協奏曲第2番)の選曲のポイントを教えてください。

 最もこだわったのはソリストです。日本のトップソリスト"2人"が、1回のオーケストラ・コンサートで一緒に演奏する機会はなかなかありません。今回は、私が尊敬するアーティストであり、日本を代表するヴァイオリニスト 大谷康子さん、ピアニスト 横山幸雄さんのダブル・ソリストを、文京シビックホールの20周年記念で実現しましょう!と提案しました。そこで2人が演奏するコンチェルトをまず決定し、それらとバランスがとれるOEKだけの演目を選曲しました。

OEKだけの演目は、いずれもメンデルスゾーンの作品ですね。その意図は何でしょう?

 私がOEKと絶対に演奏したかったのがメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」です。この曲はよくフル・オーケストラで演奏されますが、とても難しい作品で、フル・オーケストラの場合はどうしてもテンポを落とさざるを得ません。しかし人数が少なめの室内オーケストラならばスピーディー感を持って演奏できます。そこでこの曲を選びました。同じくフル・オーケストラではアンサンブルが至難な作品が劇付随音楽「夏の夜の夢」の"スケルツォ"。これも室内オーケストラならば、元々作曲されたアンサンブルの人数をキープしながら、ピュアな音色で演奏できます。いずれも今回は取り上げる絶好のチャンスですので、ダブル・メンデルスゾーンの選曲をしました。

大谷横山
 (上)大谷康子  ©Masashige Ogata
 (下)横山幸雄  ©アールアンフィニ


大谷康子、横山幸雄両氏との共演歴とそれぞれに対するイメージ、そして今回の共演で期待することを教えてください。

 大谷康子さんとは、大阪交響楽団で1日にコンチェルト8回(4曲x2公演)プロジェクトをやりました。大谷さんは暖かいオーラの持ち主なので、ステージに一緒にいるととても幸せな気持ちになります。しかもコミュニケーション能力が非常に高い方なので、次に何をされるのかをこちらも容易に感じ取ることができます。今回の「四季」は様々な演奏スタイルがある曲なので、どういう変化球を投げてこられるのか? とても楽しみです。
 横山幸雄さんはラジオの番組でご一緒したり、仲の良い共通のワイン友達をまじえてワインを語ったりしていますが、コンチェルトを演奏するのは今回が初めてです。なのでとてもワクワクしています。

コンチェルト(協奏曲)の指揮に関して特に留意している点はありますか?

 私はオペラ指揮者としてのキャリアが長いのですが、ソリストと共奏するコンチェルトも大好きです。この場合の指揮者の最も重要な役割は、ソリストが自由に何でもできる環境を作ってあげること。リハーサルと本番が全然違っても良いんです。こちらはそれに対応できるよう、ソリストのマインドを読んだり、「何か起きるかも!!」とのメッセージをオーケストラに伝えたりしますから。一般的にコンチェルト=伴奏といったイメージがありますが、私は違う。コンチェルトでも最大限にオーケストラを生かします。OEKのエネルギーがMAXであれば、ソリストももっと優れたオーラを出してくれます。コンチェルトは本番でしか体験できない新しいエネルギーを楽しむ時間とも言えますね。

室内オーケストラでしか出せない素晴らしい音色、貴重な音と音楽をぜひ楽しんでいただきたい

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ⒸClaudia Hershner

ところで20周年を迎えた文京シビックホールの印象はいかがでしょうか?

 文京シビックホールは何度か演奏したことがあります。ただし今までは大きめのアンサンブルばかりでしたので、今回OEKのサウンドがどう紡がれ、どう響くのか非常に楽しみです。また、文京シビックホールはとても雰囲気が良く、ホールではいつも落ち着いた時間を過ごしています。

では最後に、今回の公演に対する意気込みとお客様へのメッセージをお願いします。

 10月25日のオーケストラ・アンサンブル金沢・文京シビックホール公演に向けて、喜びと前向きな期待でいっぱいです。このコンサートは"セレブレーション"です。文京シビックホール20周年へのスタンディング・オベーション、2人の素晴らしいソリストを1度に聴けるまたとないチャンス、東京でOEKを聴ける貴重な機会であり、遂に訪れた私のOEKデビューでもあります。この大イベントに参加できてとても嬉しいですし、皆様には室内オーケストラでしか出せない素晴らしい音色、貴重な音と音楽をぜひ楽しんでいただきたいと思っています。この10月、多くのファンの皆様にOEKの"Love"をお伝えできることを、心から楽しみにしています。

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取材・文:柴田克彦(しばた かつひこ)

音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。
「ぶらあぼ」「ぴあクラシック」「CDジャーナル」「バンド・ジャーナル」等の雑誌、公演プログラム、宣伝媒体、CDブックレットへの取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や一般の講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)。文京シビックホールにおける「響きの森クラシック・シリーズ」の曲目解説も長年担当している。



オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo

2020年10月25日(日)15:00開演

文京シビックホール 大ホール

チケット発売 9月4日(金)10:00~

出演

指揮/原田慶太楼
ヴァイオリン/大谷康子
ピアノ/横山幸雄
管弦楽/オーケストラ・アンサンブル金沢

曲名

ヴィヴァルディ/「四季」より"春""冬"
メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」
メンデルスゾーン/劇付随音楽「夏の夜の夢」より"スケルツォ"
ショパン/ピアノ協奏曲第2番

料金《全席指定・税込》

S席 5,000円 A席 4,000円 B席 3,000円

学生割引あり
S席3,000円 A席2,500円にて販売。
※学生割引は9/5(土)より、シビックチケットのみ(窓口・電話予約)での受付となります。
※ご入場時に必ず学生証を提示ください。
 提示が無い場合は、当日受付にて通常価格との差額をお支払いただきます。


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